<Header>
<Author: 李頎>
<Title: 聽安萬善吹觱篥歌>
<Format: 格式不明>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文有假名>
<style2: 日本現代譯文附假名標注>
<TranslatedTitle: 安万善が觱篥を吹くを聴く歌>
<BookPage: 70>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
南山截竹爲觱篥，
此樂本自龜茲出。
流傳漢地曲轉奇，
涼州胡人爲我吹。
傍鄰聞者多歎息，
遠客思鄉皆淚垂。
世人解聽不解賞，
長飆風中自來往。
枯桑老柏寒颼飀，
九雛鳴鳳亂啾啾。
龍吟虎嘯一時發，
萬籟百泉相與秋。
忽然更作漁陽摻，
黃雲蕭條白日暗。
變調如聞楊柳春，
上林繁花照眼新。
歲夜高堂列明燭，
美酒一杯聲一曲。
<End Poem>
<Translation>
終南山（しゅうなんざん）で竹（たけ）を切（き）って作（つく）った觱篥（ひちりき）。それによって奏（そう）するこの音楽（おんがく）は、もと西域（せいいき）の亀茲（きゅうじ）の国（くに）から起（お）こったもの。それが、この漢（かん）の国土（こくど）に流（なが）れ伝（つた）わって、曲（きょく）はますます、すぐれておもしろいものとなった。その曲（きょく）を、今（いま）涼州（りょうしゅう）の胡人（こじん）である安万善（あんまんぜん）がわたしのために吹（ふ）いてくれるのだ。そば近（ちか）くに聞（き）いた多（おお）くの人々（ひとびと）がため息（いき）をつき、遠（とお）くから来（き）た旅人（たびびと）は、みな涙（なみだ）を流（なが）した。

世（よ）の人々（ひとびと）はその音色（おんしょく）に耳（みみ）を傾（かたむ）けて聞（き）くには聞（き）くが、その音楽（おんがく）を味（あじ）わい楽（たの）しむことはできない。あのははるばると吹（ふ）きわたる雄大（ゆうだい）な風（かぜ）の、その風（かぜ）の中（なか）を自然（しぜん）に往（い）きつもどりつするような楽（がく）の音（おと）を。その音楽（おんがく）は、時（とき）には枯（か）れた桑（そう）の木（き）や柏（かしわ）の古木（こもく）に寒々（さむざむ）と吹（ふ）きつけて、その風（かぜ）の音（おと）が高（たか）くひびきわたって、多（おお）くの鳳凰（ほうおう）の鳴（な）く声（こえ）が、入（はい）り乱（みだ）れてさびしく聞（き）こえてくるようである。また、時（とき）には、竜（りゅう）の口（くち）ずさみと、虎（とら）のうそぶきが同時（どうじ）にわき起（お）こって、万物（ばんぶつ）のひびきと百（ひゃく）のいずみの音（おと）とが、すべて一緒（いっしょ）に秋（あき）を告（つ）げているようでもある。そしてまた、たちまちにして更（さら）に変（へん）じて漁陽摻（ぎょようさん）の曲（きょく）が起（お）こるや、黄色（きいろ）い雲（くも）がものさびしくひろがって太陽（たいよう）も暗（くら）く感（かん）じられる。また、調（しら）べを変（か）えては、楊柳春（ようりゅうしゅん）の曲（きょく）を聞（き）いているようであって、それは上林苑（じょうりんえん）に盛（さか）んに咲（さ）く花（はな）が、人々（ひとびと）の眼（め）に反映（はんえい）してあざやかだといったようすでもある。

この大晦日（おおみそか）の夜（よる）の高（たか）い建物（たてもの）に、明（あけ）るいともし火（ひ）を連（つら）ねて、美酒（びしゅ）の一杯（いっぱい）を傾（かたむ）けるごとに、觱篥（ひちりき）の調（しら）べの一曲（いっきょく）を聞（き）くことのすばらしさよ。
<End Translation>